何店舗かで働いた経験がありますが、店販(てんぱん)を販売することに力を入れている美容室もあれば、「うちのサロンはこれ使ってます」程度に店頭に並べている美容室もあります。
私は店販を勧めるの苦手です。店販キャンペーンとかスタッフ同士の売り上げ競争とか、本気でやめてほしいと思ってました。
いや、辞めてほしいと思うのは今もそうで、いまだにあまり勧めません。苦手です。
が、今は以前より店販(てんぱん)を購入してくれるお客様が増えました。
自分の中で「こういう事かもなぁ」というのはあります。
それは考え方の違いや意識的なもので、テクニックなどではありません。が、店販を勧めるのが苦手な方の参考になればと思います。
ちなみに、「店販」の読み方は「てんぱん」と読みますが、これ、美容業界だけらしい。いや、読むというのは間違い(。-∀-)正しい日本語ではないので業界用語と言った所でしょか。
「てんぱんが・・・」という言葉を飲み屋で聞くと、「ムム( ゚Д゚)美容師だな」とちらっと見てしまうのは私だけだろうか。
・・・はい。本題に入ります(。-∀-)
店販を勧めるのが苦手なわけ
店販を勧めるのが上手い美容師もいるんですが、店販を勧めるのが苦手な美容師の方が多いと思います。
もちろん、毎日毎日店販を勧める仕事をしているわけではないんですが、上の人から言われてしまうとね。「またかよ」と言う気持ちになります。
自分が美容院で勧められて嫌だった
美容師に限らず、営業されると「ちょっとうざいなぁ」と思うこともありますよね。最近はほとんどないけど、訪問販売とか新聞の押し売り勧誘とか。
実際に、美容院でシャンプーを売りつけられたり商品を勧められるのが嫌だと言うお客様も多いと思います。もちろんこちらは売りつけているわけではないですが、「売りつけられた」と感じる人もいるでしょうね。
専門学生の頃に通ってた美容室で何回か商品を勧められたことがあって、その時はアシスタントの子からもスタイリストの人からも。
アシスタントがシャンプーの時に「このシャンプーは○○で○○ですごく良いんだよぉ」とか、担当の美容師さんが最後にトリートメントをつけてくれて「毎日のケアは大事だよぉ」とか。
最終的に会計の時に「どうする?買ってく?」と言われ。
「いや、買うって言ってねぇし!買わねぇし!!」と口が悪くなるほどに思ってしまいました。仲良くしている美容師さんだったんですが、自分の黒い部分が出てきてすごく嫌な気持ちになった記憶があります。
今思うとよ。お店から「今月は店販を売りましょう」とでも言われてたのか、ノルマを課せられたのか。そんな感じだったのかも。
そういう経験があると、美容室に来ているお客様に対して勧めにくくなっちゃいますよね。
買いに来ている訳じゃないから勧めにくいってのもありますし、売るのは美容師の仕事ではないとも思ってしまいますよね。
良い商品だと思ってないから勧めにくい
美容室に置いてある店販はそれぞれだと思いますが、それを勧めやすいか勧めにくいかってのに、その商品が良いかそうでもないかって言うのもあると思います。
良い商品だからって勧めなきゃいけないわけでもないんですが、問題は、自分が良いと思うもの以外を勧めなければいけない時。
これは、美容師の責任ではないです。
もはや、店販の売り上げにノルマを課す美容室があるとすれば、それはナンセンスだと私は思ってます。そんなことでスタッフのモチベーションを下げてはいけない。
でもね、これちょっと難しくて、自分では「良くないな」と持っている商品でも、他に人には良かったりすることもあるんですよね。
この辺は後程。
店販を勧めるのが苦手だからやったこと
私は店販を勧めるのが苦手だからこそ、店販を勧めるのをやめようと思いました。
店販にノルマを課せられたこともあるし、「店販を売りましょう」というキャンペーンで他の美容師と競争させられたこともあります。
私はこれらを無視しました。
もちろん最下位争いでしたが、それはそれで良いと思ってましたし、それよりも大切なことがあると思っていたからです。
そんな経験をしたからこそ、店販に対する考え方が変わったというのもあります。
店販を勧めるなら指名付けた方が良いと思った
店販を勧めて買ってもらおうと思うと、その場が変な空気になります。それは自分が進めるのが苦手で「嫌な気分になっていないかな」という意識が働くから。
そんな空気になるのは耐えられないし、店販のバックは5%~多くて10%。お金の事を言うといやらしいですが、「良い空気感を作って指名を増やした方が良い」という結果に至りました。
店販の売り上げが良いけど指名が少ないスタッフのもいたし、そこは見習うべきところではないと思ったのも大きい。
店販を勧めなくなって何が良かったかと言うと、「信頼度」です。
気まずい空気が無くなるから信頼されるわけではないですが、自分の中に憂鬱な気持ちが無くなるだけで明るくなれますよね。
本音が出過ぎて余計なことを言う
信頼性で言うと、本音で話していたというのも大きいと思っています。店販を勧めるのをやめたから本音で言えることが増えました。
例えば、最近はサロン用のシャンプーやトリートメントも、ドン・キホーテやハンズ、ロフトなどで置いてあることも多いです。ハンズやロフトであれば正規料金で売っているのですが、ドン・キホーテは安くなっていますよね。
学生の男の子が指名してくれてたんですが、「いつもつけてくれるワックスすごく良いんですよね。これ売ってるんですか?」と、聞かれ、「うん、置いてるよ」と言ったら買おうか悩んでたんですね。
で、「それドン・キホーテで安く売ってるよぉ」と教えたところ、「ハハッ(´▽`)帰りにドン・キホーテよってきます」と笑って帰っていきました。
シャンプーやトリートメントでも、「Amazonとか楽天の方が安く売ってますけど良いですか?」って聞いてしまうこともあります。
そういうのを求めてないお客様もいらっしゃるので、これはお店によって違うし難しい所なんですがね。
本音を言う事で良かったことは、指名が増えること。
店販を売るとなると余計な事をしてしまってる気がしますが、本音が言えないというのが私には気持ち悪かった。「この人はちゃんと教えてくれるんだな」と思われるのは、信頼性も高まるし指名も増えますね。
店販を勧めるに大切なこと
店販を勧めるのをやめて分かったこともあります。
「店販を勧めないといけない」と思うと苦手意識が働いて嫌になっちゃうんですが、考え方次第でかなり意識は変わります。
それは、お客様にとって一番良い選択肢は何かを考えること。
当たり前じゃん!っていう人もいると思いますが、店販を勧めるとなると当たり前だと思っていることができないんですよ。だから苦手意識が出てしまう。
その商品本気で使ってみた?
自分が好きな商品ってあると思うんですが、好きでいつも自分が使っている商品の説明はできると思うんです。
成分がどうのとか細かい話ではなく、もっと簡単に。
「このワックスつけると1日もつんだよな」
「このシャンプーだとハリが出るんだよな」
「このトリートメントは重くないのに癖がおさまるな」
などなど。思うことってあると思うんですが、お客様に伝えるのって簡単なことで良いと思うんですよね。
「店販を勧めてください」と言われるときはお店で商品の説明会などもしてくれます。ディーラーさんが来ることもあるしメーカーさんが来ることもある。
説明してくれるから商品の事を知ることはできますよね。お店でも置いて使うこともあると思います。
で、自分で勧めにくいのって、その商品を本気で使ってみてなかったんですよ。私の場合。
個人店で働ていた時に「良い商品を置きたいね」と言う話になって、店販とは別にシャンプーやトリートメントを試したことがありました。
1つの物を何週間か使うんです。そうすると、1回使っただけじゃないことが分かるんです。「使い続けるとベタベタするな」とか、反対に「毎日使うとパサつくな」とか。
「あぁ、そうか、店販を勧めるのが苦手だったのは商品の事を本当には知ってなかったかもな」と思ったんですよね。
ワックスとかオイル、流さないトリートメントでも良いのですが、自分でちゃんと使って良いと思うものを勧めるのが、苦手意識を克服する一つ。
専門的になってるか
もちろん美容師ですから、毎日何人もの髪の毛に触れているし、「この髪の毛にはどの薬剤が合うか」とか「頭皮が弱そうだからなるべく負担がかからないように」というのは分かると思います。
髪の毛のことを相談されて寄り添うと思うんです。
じゃぁ、ヘアケア製品のことを相談されたら?
ヘアケア製品は何百何千とあるので網羅しようとするのは難しいですが、店販を勧めるのが苦手っていう人は、自分で使ってるもの、お店で使ってるものくらいしか知らない人もいると思うんです。
カラー剤の種類はたくさん置いてあるし髪に合わせて使うと思いますが、ヘアケア製品をそこまで細かく知ってる?
あ、でもですね、これは実際に自分で体験したというのは大きいです。
一時期ものすごく抜け毛が増えて悩んでいたことがありました。サロン用の育毛系のシャンプーや育毛剤も試してたんですが全然だめで、ネットで口コミ見て色々なものを試してました。
「世の中にはこんなに良いものがあるんだな!」と。
自分で使って確かめるのも数が多いと金銭的にも難しいこともあるかもしれません。でも、本当の悩みには答えられないですよね。
その店に自分が良いと思う商品がなければ、「これが良いですよ」と、お客様のために取り寄せるのも良いと思うんです。実際にそういう美容師もいますよね。
色々知ってると、「市販で良いのは○○だと思いますが、うちで取り扱ってるものだと・・・」と、店販を勧めやすくなりますよね。
あとね、「あの子詳しいからあの子の聞こう」と思ってくれるお客様も増えます。
最近はヘアケア製品に詳しいお客様も多いので、対等に話せるのは強みですよ。
良いものでもごり押ししない
店販の勧め方という点で言うと、いまだに苦手だから「難しいなぁ」と思うし、店販の売り上げが大きい人を見ても話術が巧みだったりで真似できないしかなわないわけですよ。
そんな中、これはしちゃだめだな。と思う事があります。
それは、「私も使ってるんですよ~」です。私はこれを言わないようにしてます。言い方もあるんですけどね、なるべくなら言わない。
例えば、洋服屋へ行って「私が着てるのがぁ」と言われたり、デパートの化粧品売り場で「私も毎日使っててぇ」と言われたことがありますが、「へぇ~」と思うだけなんです。
ウソっぽく聞こえる。
もし言うなら、1つか2つメリットを言ってから言うといいと思ます。
本音っぽくいうなら、というか、本音で話すことの方が多いですが、「私も実際に使ってみて思ったんですが」と、色々使った中でこの商品が良かった。という比較をすると伝わりやすいのかなぁ。
で、その商品が本当にすごく良くても、その商品を知らない人に熱弁すると、それが本音で嘘がなくても、どうしてもウソっぽく聞こえちゃうんですよね。
比較するのも大切。
比較をするとなると色々な商品を知ってなければならない。
でも、自分に合うからと言って他の人に合うかと言えばそうではないので、髪質や頭皮の環境を読むというのも大切です。
「自分で使って○○だったんですが、○○さんの場合は髪が乾燥しやすいので使う量は少し多い方が良いともいます」など、ごり押しと言うよりもアドバイスがあると勧めやすいですよ。
提案力を身につけるということ
美容師として髪型の相談をされることもあると思いますが、髪質だったり顔の形だったり首の長さだったり、もしかしたら似合わないんじゃないか?もしかしたら傷むんじゃないか?と思うことってありますよね。
そういう時に、違う髪型や色、パーマ剤の種類など、違うものを提案して勧めることってないですか?
店販もそうだと思うと、苦手意識って減ると思うんですよね。
お客様が色々言いやすい雰囲気をつくるのも必要だなぁ。と最近思ってます。
例えば、いつも同じ商品を購入してくれる方がいて、頭皮の環境から「乾燥してるから○○の方が良いかもしれないですよ。」という提案をしたりするんですが、もしかしたら違う商品を使ってみたいと思ってるお客様もいるかもしれないと思ってて。
自分でもあると思うんです。店頭で試したハンドクリームが良い匂いで買ってみたとか。(私の話なんですけどね💦)
そういう時は、直接聞いたりするのもお客様が言いやすくなるのかなぁ。と考えてます。
言いやすいっていうのは、そこに置いてない商品も勧めるからっていうのも大きいかなぁ。と思ったり。
この辺は難しいです。「美容師さんには言いにくい」という方は多いので。
まとめ
私はアドバイザーでもないしオーナーでもないので、正しいか正しくないかは分かりません。
店販の売り上げを気にしないといけない立場ではないからこその話でしたが、店販を勧めるのが苦手な克服法として店販を勧められるようになるには、自分で使うものに対して知ることだったり本音で話すことは必要だと思いました。
考え方や意識が変わったのは、店販に執着しないこと。「物を売る」という考えではなく「美容師の仕事と同じ」と思うこと。
本音で本気でお客様に対して接していると、自然と店販も出るようにはなりますよ。
・本音で話すのも大切
・本音で話すと信頼関係が築きやすい
・その商品を自分でしっかり使う事、知ること
・良いものでもごり押ししない
・提案力を身につけるということ