美容師は接客業ですが、技術職でもあります。
ん?技術職だけど、接客業?
両方大切で、両方必要ですよね。
技術的に悩んでいる美容師さんもいると思いますが、実は接客業として話すことが苦手で悩んでいる美容師さんもけっこういます。
友達やスタッフとは話せるけど、お客さんとうまく話せない。そもそも話すのが苦手。などなど。
美容師は1対1ですし、挨拶や身だしなみといった接客マナーの他にも会話を求められる場面もあるかと思います。
また、後輩を育てる立場になると上手く説明出来た方がイイですよね。
今回は、口下手な美容師が気を付けたいこと。「美容師の仕事は面白いしやりがいはあるけど話すのも接客も苦手で克服したい」という美容師への克服方法です。
美容師は無口な方がイイ?
実は、「美容師は無口な方がイイ」「話しかけないで欲しい」というお客さんは、おしゃべりをしたいというお客さんよりも多いと言います。
美容室に勤め出すと自分が他の美容室に行かなくなので、そう言った気持ちを忘れてしまいがち。
考えてみてください。
例えば自分が洋服を買いに行って、洋服屋の店員さんが「何かお探しですか?」「気になるものがあったら出しますよ」「これ新作ですよ」などとたくさん話しかけてきたら、その場から逃げたくなりますよね。
試着した時に、アドバイスが欲しかったり相談にはのって欲しいこともありますが、プライベートな話はしたくないですよね。
タクシーに乗ってすごい話しかけてくる運転手さんもいますが、自分の気分によって話したくないこともあります。
自分のパーソナルスペースがあまりない美容室では逃げられないし、おしゃべりされたら気を使って話さないといけないと思ってしまう人もいるようです。
リラックスしたいのに、話しかけられると疲れてしまうお客さんも多いと思います。
口下手の美容師が気を付けたい事
おしゃべりよりも無口な美容師の方がイイとは言うものの、全く話さなくて良いというわけではありません。気を付けないといけないことがあります。
カウンセリングはしっかり
口下手な美容師さんが比較的苦手なのは「カウンセリング」ではないでしょうか。
どういったカットにしたいのか、どういった色にしたいのか、どういったパーマをかけたいのか。
一人一人髪の毛の質も違うので、細かいところを気にしなくてはいけませんよね。
ざっくり聞いて自分の中で勝手にイメージしてカットしちゃう。で、全然違う感じに仕上がっちゃう。
技術があっても仕上がりが違ってしまったら、お客さんは納得しません。
そして、もう2度と来てもらえません。
カットの途中でも、「相手がどうしたいのか」「普段は髪の毛に対してどうしているのか」など、聞きながら進めていくのも良いと思います。
例えば毛量の調整。スタイリング剤を使う人と使わない人では、髪のすく量も変わってくることもあります。
お客さんがいつもどうやってスタイリングしているかにもよりますし、好みもあるでしょう。
聞かないと分からないこともありますし、言わないと伝わらないこともあります。
カウンセリングはしっかり。
無理して話しかけない
話すのが苦手だけど、「お客さんがつまらないのではないか」と思い、必要以上に話しかけてしまう事。
カウンセリングとは別に、沈黙がたえられなくてついつい話しかけてしまうことはないでしょうか。
「今日は天気がイイですね。この後出かけるんですか?」
「自分はこの間○○へ行って」
「その雑誌の○○美味しかったですよ」
「仕事は何をしているんですか?」
話すきっかけを探してしまう。スタイリストになりたての私はそうでした(;^ω^)。
私はアシスタントからスタイリストになりたての頃、「会話」というものをはき違えていました。
ざわざわしている美容室の中で、自分がいるスペースだけ静か。
「何かしゃべらないと」という気持ちになってしまうこともありました。
でね、聞くことがなくなってくると自分のことを話しだしちゃうんですよ。
お客さんにとって良い情報だったらイイのですが、自分のことだけペラペラと。
新規のお客さんなのか指名のお客さんなのかで違うかもしれませんが、「美容室に来る意味」ではなく「楽しませないと」と思ってしまうと会話の方向が変になっちゃう。
TDLとかUSJではないので、「どうしたら楽しんでもらえるか?」というのは必要ありません。必要があるとしても、考えるのは最後の方で良いです。
話したい人なのか、静かにしたい人なのか、見極めるのも大切です。
ぎこちなくなる
口下手で話しが苦手な美容師は、気を使いすぎてしまうことがあるんじゃないかな。
お客さんのことを気にしてチラチラ見たり、話し出すタイミングを狙っている感じがしてしまいます。
お客さんはそういった空気を読むので、「なんか怪しいな」と感じてしまうこともあります。
「なんか怪しいな」は、「この人大丈夫かな?」に繋がります。
どうしても、どうしていいか分からなくなってしまうとぎこちなくなります。
技術に自信がないとそうなっちゃうのかな?って思うところもあります。
「自信を持って」と言われても中々難しいかもしれませんが、まずは落ち着くこと。お客さんがどうしたいのかを考えること。
顔がこわい(無愛想)
「美容師=技術職」と考えている美容師は、顔が怖くなる傾向があります。(もちろんそうじゃない美容師もいますよ(´▽`))
陶芸家とか、輪島塗とか、絵描きとか、大工とか、伝統工芸の職人さんと同じように思っている美容師も多いと思います。
いや、私がそうだったからなんですが、「技術職、無愛想で何が悪い!?」って思ってたこともあります。
いや、伝統工芸の人たちが不愛想ってことではないですが、接客業ということがあまり頭になかったんですよね。
髪の毛のことばかり考えて集中すると、顔が怖くなってしまいます。
クレームを怖がって接客する人もいると思うんですが、そうじゃなくて、「日本の接客は世界に通じる」と私は思ってます。
海外の空港でお土産にTシャツを買おうと思った時にお店に入ったんですが、Mサイズがなくて片言の英語で聞いたんですよ。
そしたら、「あぁ?ないもんはない。聞いてくるな」的な事を言われ、店員さんの態度に驚いて「もういい。絶対にここにはもう来ない!」って思ったことがあります。
さすがに日本ではそういったことはないかもしれませんが、日本で育った私は驚いてたし怖かった。
でね、髪の毛を扱われるお客さん側からすると、「無愛想だと怖くて希望することも言えない」という人もいるんですよ。
・話しかけにくい
・希望を伝えにくい
・分かっているのか分からない
・必要な事は言って欲しい
など。
自分はそう思っていなくても、無愛想で対応されると「感じが悪い」と捉えてしまう人もいると思います。
難しいね。
無口はイイが、無愛想は「怖い」「感じが悪い」という印象を与えてしまうかも。
口下手を克服するためには
無口な美容師でもいいけど、そもそも伝えるのが苦手だったり下手だったり、人見知りで感情表現が苦手なこともあるでしょう。
私は子供の頃から人見知りで、表現が上手くできないのが悩みでもありました。
言葉が足りなくて「もしかして私が言ったことで勘違いさせてしまった?」と思うこともしばしば。
口下手で悩んでいる人の多くは、「自分の伝えたいことがうまく表現できない」ってことにあるんじゃないかと思います。
もちろん、無口でも口下手でも問題ないと私は思いますが、できれば口下手を克服したい!という美容師さんに、いくつか提案したいと思います。
自信を付ける
口下手になる原因として、「自分に自信がない」ということもあります。
自分に自信がない人は、自信をつけることも会話をうまくできるようになるコツです。
自信がないと、ハキハキ話すのも苦手だったりしますよね。
接客される側としても、無口であまりおしゃべりはしないけど、ハキハキ受け答える人は気持ちがイイですよね。
自信がない人って、「自分なんて」と思いがち。完璧主義で他の人よりも勝てる部分がないと思ったり、自分があまり好きじゃなかったり。
どうやって自信を付けるのかが問題ですが、何かに対してうまくいくこと。そしてそれをくり返すこと。
カット、自信ないですか?
技術の向上と言うのは自分の自信につながります。
自分の生活の中で何でもいいと思うんですが、せっかくなら仕事で自信つけたいですよね。
技術に自信がつけば自分に余裕ができます。自分に余裕ができると力まないで話すことができます。
あと、しゃべらなくても大丈夫になる。
自分に自信がつけば、沈黙の時間も平気になりますよ。そうしたら、口下手でも大丈夫。
自分と周りと比べすぎないというのも大切です。
緊張しないようにする
緊張して何を話していいか分からなくなってしまう人もいると思います。
初めてのお客さんって緊張しますよね。
で、緊張は相手にも伝わるので、お客さんもリラックスできません。
実は、お客さんも初めて切ってもらう人には緊張しています。
緊張しないようにするには慣れもあると思いますが、ルーティーンを決めておくと言うのも一つの手段です。
よく言われるのが「深呼吸」とか「手に人を書く」とか。
自己催眠の一種です。
私の場合は、緊張しだしたら頭の中で「寿限無」や「般若心経」などをくり返してました。いや、今もよくやります。
「何か話さないと」と思うと緊張してしまう人は、特に何も話さなくても良いので、頭の中で別のことを考えるのも良いと思います。
もちろん手も動かしつつ。
自然な笑顔
口下手な人って、笑顔が苦手な人も多くないですか?
笑顔と言うのも接客にとって重要ですよね。
無理に笑おうとするとぎこちなくなるので、自然な笑顔が作れるようになるといいかと。
特にニコニコニコニコする必要はありませんが、印象を良くすることも大切で、相手に安心感を与えます。
上手く笑顔が作れない。これはね、絶対練習が必要です。毎日鏡を見て練習する努力もあった方がイイですよね。
自信がない、緊張してしまう、ということとつながるのかな。
リラックスするというのが「自然な笑顔」を作るポイントじゃないかと思うんですが、自信がない人も緊張しやすい人も、笑顔が引きつりやすい。
可愛いものとか面白いこととか、自分の好きな事を思い出すというのも手ですよ。
笑顔が習得できれば、口下手でも無理に話さなくても良くなるんじゃないかな。
上手く会話するためには
上の3つ「自信」「緊張」「笑顔」というのは、実際に会話をスムーズにするためにも必要ですが、口下手だからあまり話さなくても武器になるという考え方もできます。
じゃぁ、実際に口下手を克服するためには。上手く会話をするためには。
メモしておく
口下手の人の特徴の一つに、「頭の中が整理されていない」ということが挙げられます。
頭で整理して言葉にするのが苦手な人もいますよね。
「アレもコレも」となって頭の中がごちゃごちゃしてしまうか、「会話の内容が浮かばない」か。
私はアレもコレもと考えてしまうタイプで、何から話せばいいか悩んで分からなくなることがあります。説明したいときは特にそう。
こういった場合、頭で考えても解決しないので、紙に書くこともお勧め。
今までうまく説明できなかったことなどをシミュレーションしてノートにメモするとイイと思います。
・説明するのに必要なことは何か
・何を先に話すのか
・どのような順番で伝えたら分かりやすいか
など。
日記を書いてみるのもイイ
会話ならいいのに文章が苦手な人もいますし、文章が得意なのに会話が苦手という人もいます。
両方苦手な人は、日記を書いて見るのもいい刺激になりますよ。
この場合のポイントは、普段会話しているような言葉で書くことです。口語調ですね。
最初はまず書いて見る。
日記じゃなくても、最近友達と話した内容などでもイイと思います。思っていることを口語調で友達に話すみたいに書いてもイイと思います。
で、慣れてきたら読み直して、どこが分かりにくいかを考える。
で、もっと慣れてきたら、「起承転結」や「序破急」といった、ストーリーの流れも考えてみる。
流れを考えて書くようになると、話すときも頭の中が整理しやすくなります。
本を読んで語彙力UP
「何を話していいか分からない」という人は、語彙力が不足しているかもしれません。つまり、言葉のボキャブラリーが多くない。
言い方や言い回しも苦手な場合もあると思います。
普段使っている言葉にはクセが出ます。使う言葉って偏っちゃうんです。
ここで意識したいのは、どういう言い回しで書いてあるのか。
言葉の数も増えると思いますが、同じ言葉でも言い方や言い回しで雰囲気って異なりますよね。
読むことに集中してしまうと流れて行ってしまうんですが、「あ、そういう言い回しがあるんだ」と感じ取ることです。
分からない言葉があったり、普段使わない言葉があったらメモるのもイイと思います。
他の人を観察
美容師として「観察」というのはけっこう大切だと思ってます。
髪型だけではなくお客様の癖や周りのスタッフがどのように動くかなど、感じ取れるか取れないかで仕事のしやすさも違ってきます。
で、会話が苦手なら、他のスタッフがどのように会話をしているのか観察してみる。
どうやって話し出すのか、どんな会話内容で盛り上がっているのか。
自分が仕事をしていないときでもバックルームで休むのではなく、サロンに立ってみるのも大切ですよ。
これは会話術だけじゃなく、どうやってカットしているのか、どのロットを使うのか、など、自分の苦手な分野を他のスタッフを見て勉強することにもつながります。
落語を聞く
「落語」いいですよ。お勧め。
落語家さんのように話せって言うんじゃないんですが、テンポとか間合いとか緩急とか抑揚とか。
学生の頃にめちゃくちゃ話が面白くて、学歴とかじゃなくて「この人頭いいんだろうなぁ」って友人がいました。
後で聞いたら、「落語を聞いてる」と言っていました。
そこで私も真似したんです。
芸人さんもそうだと思うんですが、実は一人で話しているようでお客さんとの間で話してたりするんだそう。
笑うポイントがありますよね。で、実際に客席では笑い声が大きい。そんな時にネタを続けてしまうとお客さんは聞き取れないわけです。
笑いが大きいときは、少し待つんだと聞いたことがあります。
専門的な事を専門用語を並べて説明されるより、分かりやすく面白く説明された方が聞きやすいし頭に入ってきますよね。
最初は難しいんですが、本を読むことと一緒で、ただ聞くのではなく意識することが大切です。
ダウンタウンの松ちゃんが「寝る前に立川志の輔さんを聞く」と言っていたので、私は最近、立川志の輔さんを聞いています。
CDも出てるしYouTubeでも見られるのでイイと思いますよ(´▽`*)
まとめ
美容師は個人的に接客するので、合わせないといけないというのは口下手な美容師にとって大変かもしれません。
それこそ「空気を読む」という事になってしまうかもしれませんが、コレ超大切。
「口下手でも良いんだ」ではなく、カウンセリングや対応も大事です。
口下手を克服したい、会話が上手くなりたい、上手く説明できるようになりたい。と言う場合、口下手な人が上手く話せるようになるのって結構大変です。
アリストテレスは言っています。
人格は繰り返す行動の総計である。
それゆえに優秀さは単発的な行動にあらず、習慣である。
すぐに上手くなろうとするのではなく、まずは続けること、習慣化することも大事です。
あまりにも話そう話そうとするのではなく、話したくないというお客さんもいるという事も頭に入れて!