美容師です。相変わらず人気のアッシュですが、アッシュの白髪染めをすると白髪が染まりにくかったりキラキラと目立ってしまう事があります。そして、そういう相談を受けることもあります。
アッシュのおしゃれ染めも同様で、「白髪が数本だからおしゃれ染めで染めてるけど、白髪がキラキラ目立つ」という方もいらっしゃいます。
私自身数本の白髪があり、白髪は関係なくオシャレ染めの10トーンのアッシュで染めていますが、白髪がキラッと光り目立つことがあります。
これ、原因の一つは色味。そして、染める明るさや髪質にあります。
白髪染めのアッシュの色味について
「アッシュ(Ash)」と言うのは、直訳すると「灰」という意味です。例えば、英語だと灰皿の事を「ashtray(アッシュトレイ)」と言います。このアッシュ。
灰は「ash(アッシュ)」だとして、灰色は「gray(グレイ)」って言うよなぁ・・・?髪の毛でgray(グレイ)と言えば「グレイヘア」で、白髪になっちゃうよなぁ・・・?と、不思議に思ったんです。
例えばなんですが、「ashtray」は日本語で灰皿なんですが、「graytray」と言うと、灰色のトレイと言う意味になってしまいます。
グレイ(gray)と言うのは白と黒のコントラストで、黒髪の中に白が混ざり灰色に見えることで「グレイヘア」と呼ばれます。
※ちなみに、白髪が多く黒髪がほとんどない髪の毛を「ホワイトヘア」とも呼ぶみたいですよ。
アッシュ(ash)と言うのは、色味がある灰色の事を言うんだそうです。
アッシュ○○、○○アッシュなど、(例えばアッシュグレーやマーメイドアッシュなど)色々なアッシュがあります。
アッシュにグレーって何色よ(。-∀-)。そして、マーメイドって何色よ!?って、思ってる美容師は実は多いと思います。
余談が長くなってしまいました(;^ω^)。美容室で使う「アッシュ」は、青や青寄りの紫などの色味です。
白髪染めで使うアッシュは、基本的にブラウンがベースで青みが入っています。
ブラウンの色味も色々あるんですが、基本的に「赤味が入っていないブラウンベースに青」というのが、白髪染めのアッシュです。
青は、髪の毛に残る色素の黄色や赤などの色味を消すことで寒色系の仕上がりに近づきます。染料そのものの色ではなく、染めた後の仕上がりのイメージ。という風にとらえると良いと思います。
でですね、この「青」と言うのが、白髪が染まりにくかったり目立ってしまう事のある色味なんです。
白髪にアッシュの青色が染まりにくい・目立って見える原因(理由)
白髪が染めりにくかったり光って見えてしまう原因の一つには、色の特性があります。
「色の三原色」とか、「光の三原色」って聞いたことあると思うんですが、この色と光のバランスで白髪がキラキラとしてしまったり染めりにくく感じることがあります。
とはいう物の、「色の三原色」や「光の三原色」は小学生で習うらしい。
らしい。というのは、私自身「え?習ったっけな?」と、記憶になかったからなんですが、簡単なものです。
【色の三原色】
色の三原色とは、シアン(やや緑みの明るい青)、マゼンタ(明るく鮮やかな赤紫色)、黄色(イエロー)で作られる色で、混ぜると暗くなり黒に近づきます。
【光の三原色】
光の三原色とは、赤(レッド)、緑(グリーン)、青(ブルー)で作られる色で、混ぜると明るくなり白に近づきます。
で、この「色の三原色」と「光の三原色」がどのように髪の毛の白髪に影響するかと言うのを説明しますね。
髪染めは「色の三原色」仕上がりは「光の三原色」で考える
キャンバスって白いですよね。で、白髪は「白」なんですが、本当は透明で光の反射で白く見えています。そして、実は、少~し黄色や赤みが残っています。
その白髪に「ブラウンベースの青」を足すことで色が濃く入ります。コレが「色の三原色」の原理です。
※ヘアダイの場合は、脱色作用やアルカリ作用で色が入ります。
なんですが!
私たちは常に光にあたっています。
で、この光にあたってるってことは、「光の三原色」なんです。
つまり、キャンバスに塗った色は、光によって見え方が変わってしまうんですね(。-∀-)。
先ほど出ました「光の三原色」は、赤(レッド)、緑(グリーン)、青(ブルー)です。
赤味や黄色味が残っている白髪に青をのせると、光にあたって余計に白っぽく見えてしまう事があるんです。
白髪染めをしない方でも髪の毛に色素が残って白髪が黄ばんでしまう方もいらっしゃいますが、そう言う場合にも青系のアッシュやシルバーなどを使います。そうするときれいな白になります。
キラキラ光って見えてしまったり、光って見えてしまうから染まってないように見えてしまうのは、こういう理由です。
例えばなんですが、結婚式の花嫁さんのウェディングドレス。純白のウェディングは少し青みがかっていて、照明を当てたときにキレイに真っ白に見えます。
最近ではLEDが使われていたり、ウェディングドレスのカラーも様々なのですが、照明にあたった時にどのように見えるかなども計算されていることも多いんですよ(´▽`)。
光が与える影響は髪の毛だけじゃないんですよ(。-∀-)。
私は青や緑系のシャツやセーターが好きなんですが、反射して顔色が悪く見えてしまうことがあります。反対に、オレンジや黄色系のシャツを着ると顔色が良く見えるんです。
黒っぽく見える髪の毛も、光にあたると明るく見えますよね。
通常のブラウンではそこまで感じないかもしれませんが、色味が入ったカラーは、蛍光灯、白熱灯、太陽光などの下では色の見え方が違うんですよ。
青色は髪の毛に入りにくい&抜けやすい
「色の三原色」「光の三原色」とは別に、青色は髪の毛に入りにくい&抜けやすい色味です。
と言うのは、元々の髪の毛の色素の違いなんです。たまに元の髪の毛が明るい方はいらっしゃいますが、日本人の髪の毛は黒っぽくて茶褐色のことが多いですよね。
黒っぽく、濃い茶色に見えるんですが、赤や黄色の色素も含まれています。
こちら「白髪の黄ばみ、傷めたくないけど奇麗な白にするためには」にも書いたんですが、髪の毛のメラニン色素には大きく分けて2種類あります。
- ユーメラニン:黒~茶褐色
- フェオメラニン:赤色~黄色
どちらかだけあるのではなく、この「ユーメラニン」と「フェオメラニン」の割合や多かったり少なかったりで髪の毛の色が決まります。
日本人の髪の毛はユーメラニン:フェオメラニンが20:1と言われていますが、ブロンドヘアの外国人の場合は黄色が強いフェオメラニンが多いか両方とも少ないか。というわけです。
黒褐色や茶色の色素のユーメラニン。このユーメラニンの方が先に壊れやすく、赤や黄色のフェオメラニンが髪の毛に残りやすいんです。
これは「白髪が黄ばむ」という話なんですが、黄ばんでいない白髪でも色素って残ってることもあるんですよ。
で、色味の話になりますが、赤味や黄色味って、青や青紫の反対色なんですね。
反対色の色味をきれいに出すのって難しくて、色が薄まったり間の色味になってしまうことが多いです。そして、早く抜けてしまいます。
色を重ねていくと徐々に青寄りになっていくこともあるんですけどね。例えば、毛先はアッシュが入るのに根元が入らないとか。
これは日本人の場合の話でしたが、反対に赤味の色素の薄い外国人の人の場合、赤くしたいのに赤味が早く抜けるんだそうです(同じクラスにいた外国人の話談)。
明るさによって違うアッシュの白髪染め
今までは色味の違いでしたが、今度は明るさ(明度)についてです。
美容室でカラーチャートなるものを見たことがあると思いますが、色は明るくなると薄くなります。
白髪染めじゃなくておしゃれ染めも同じで、トーンが明るくなると色味が薄くなります。
明るいアッシュ系の白髪染めは染まりにくい
そもそも、明るい白髪染めは白髪が染まりにくい傾向ではあります。
これはなぜかと言うと、明るい染料は色素が薄いからなんですが、その中でも「アッシュ」の色味は染まりにくい。
・・・と言いますか、先ほどの「光の三原色」で、反対に白髪が目立ちやすくなることがあります。
暗いアッシュ系なら染まるのか?
ご自身がどのくらいの明るさの白髪染めをしたいか、どのくらいの明るさに仕上げたいかにもよりますが、基本的に明るいアッシュよりも暗めのアッシュの方が白髪は染まりやすいです。
がっ!!
色味のところでも話しましたが、トーンの低いアッシュは、青色だけが多く入っているわけではなくブラウンも多く入っています。なので、けっこう暗く見えてしまったりします。
青も濃い色なので、濃くすればするほど暗さは出やすいですね。
例えば、同じ6トーンで染めて、地毛よりも暗くなってしまう人もいれば、地毛より少し明るくなってキレイにアッシュが出る人もいます。
これは、カラー剤の違いだったり、元々の白髪の量だったり、地毛の明るさだったり、色が抜けやすかったりで変わってきます。
人によっては、7トーンのアッシュ系だと染まりにくかったりしますが、そもそも染まりにくいという人もいます。
白髪染めのアッシュが染まりにくい人の染め方
白髪染めでアッシュにしたいけど、なかなかきれいなアッシュにならない方や、どうしても赤味が出てしまう方に、こういう染め方もしますよ~。というのを紹介しますね。
ちなみになんですが、これ、美容室での染め方なので、市販のカラー剤だと難しいかもしれません。
明るいアッシュと暗いアッシュを混ぜる
例えば、仕上がりを7トーンのアッシュ系ブラウンにしたいとしましょう。
7トーンの単体のカラー剤で染まりにくいときには、明るいアッシュブラウンと暗めのアッシュブラウンを混ぜて7トーンを作って染めるとアッシュに染まりやすくなることがあります。
何トーンを使うかは髪質によって変えますが、「もうちょっと色味が欲しいなぁ~」って言う時には、本当に少し「青」だけを足すこともあります。(「ブルー」という、本当に真っ青のカラー剤があるんです)
6トーン+9トーン+青ちょっと。みたいな。
なぜトーンあかるいカラー剤を混ぜるかと言いますと、明るいトーンの方が、よりアルカリ作用と脱色作用が高いからなんですね。
ヘアカラー(ヘアダイ)の仕組みは、塗るとアルカリがキューティクルを開き、髪の毛の色素を抜くために脱色作用が行われ、その後に色が入ります。これを1回で行えるんですね。
これは暗めのトーンでも明るめのトーンでも同じ作用なんですが、明るめのトーンの方がアルカリ作用と脱色作用が高くなります。そして、そこに少し濃い目の色味(暗めのトーン)を入れることで、色が入りやすくなります。
アルカリの目的はキューティクルを開き色を入れることなんですが、白髪もキューティクルに守られているので、アルカリでキューティクルを開いてあげると色が入りやすくなります。
- 明るいトーンを混ぜるので、退色してきた時に黒髪の部分が明るくなりやすいです。
- 髪質によっては退色も早くなることがあります。
ハイライトで発色をきれいに
「白髪染めだけど暗くしたくない!」という方には、ハイライトがお勧めです。
あ、でもですね、後に乗せる色で暗さは調節できるので、最初は暗めで、退色してきて丁度良くなったりと楽しめたりもします。
ハイライトのメリットは、
- 色素が抜けるのでアッシュが出やすい
- 立体感のある髪に仕上がる
- 白髪がごまかせる
などなど。
7トーンの中に白髪が浮いてしまうより、明るい部分があることで白髪が目立ちにくい。というのはかなり大きいと思います。
やり方も色々で、白髪染めをした後にハイライト、ハイライトをしてから白髪染め。
染め方も色々で、表面に面で明るさを出しても良いですし、細かくウィービングを入れても良いですし、かき上げるサイドだけ(前やトップだけ)入れても良いと思います。
これは美容師によって違うと思いますが、ブリーチを使う人もいれば、トーンの高い色やライトナーを使う人もいます。
ブリーチを使うと退色が早くなってしまうので、わたしはライトナー、もしくは12~14トーンのカラー剤を使うこともあります。
この辺は担当の美容師さんと相談してみて下さい(。-∀-)。
アッシュを諦めるのも手
最後に一つ。
「アッシュ」にこだわらないと言うのも一つの手だと思います。
元々の髪の毛の色素だったり、明るさが出るとどうしても浮きやすい色なので、アッシュをきれいに出すに不向きな方もいらっしゃいます。
もちろん、ブリーチやハイライトなどで賄えることもありますが、どうしても髪を傷めてしまうんですよね。
私自身、髪の毛に赤の色素が強くあって、アッシュが入りにくいんです。アッシュで染めるとオレンジが濁った色になります。そして白髪は光ってしまいます。
以前は明るくしてダブルカラーなどもしていましたが、やっぱりねぇ、頻繁にしないと色味が持たないんですよ( ;∀;)。
最近もアッシュで染めていますが、濁ったオレンジ、これはこれでけっこう良い色で、愛着が出てきて好きなんです。
カラーチャートやモデルさんの写真などで見るときれいで「この色にしたい」というのもあると思いますが、自分が持ってる色素で、人には出ない色も素敵だと思うんだよなぁ。と思ってます。
白髪染めのアッシュが染まりにくい、キラキラ目立ってしまうのは、元々持っている色素や「アッシュ」と言う色味によりますが、白髪染めの染め方もいくつかあるので、担当の美容師さんに相談してみてくださいね。