美容室ではたまに、そんな会話が繰り広げられることがあります。
温泉だけではなく、海やサウナなどもヘアカラーの直後は色落ちしやすいので気を付けたいところです。
あ、ちなみにパーマも落ちやすくなります。
なぜ温泉や海でヘアカラーが落ちやすいのか解説します。また、色落ちを防ぐ方法も後半に書いてあるので参考にしてみてください。
温泉や海でカラーが落ちやすいのはなぜ?
温泉で色が落ちやすいのは、染めたカラー剤が安定してないのと温泉がアルカリ性が多いからです。海水もアルカリ性です。
アルカリ性が良くないというのは、カラー剤やパーマ液などの仕組みと関係しています。
温泉のアルカリ性の説明の前に、カラー剤やパーマ液の話をしますね(‘◇’)
カラーやパーマの仕組み(簡単に)
ヘアカラー(ヘアダイ)で髪の色を変えるときは、髪の中までカラー剤を入れて定着させる必要があります。パーマで髪の形を変えるときも同じです。
で、髪の毛の内部にカラー剤やパーマ液を浸透させるためには「アルカリ」が必要になります。髪の毛はアルカリに傾くとキューティクルが開くという性質があるからです。
アルカリで髪を膨潤させるとキューティクルが開き、キューティクルが開くことでカラー剤やパーマ液が髪の毛に浸透するという仕組みです。
そのため、カラー剤(ヘアダイ)やパーマ液はアルカリ性なんですね。
分かったかな?
温泉や海水も同じ「アルカリ性」なので、キューティクルが開きやすくなります。
美容室ではアルカリに傾いた髪の毛を弱酸性に戻すために、ph調整剤やバッファー剤と呼ばれるもので調整します。
ただ、ph調整剤だけでは完全に安定していません。さらに温泉でキューティクルが開いたままになってしまい薬剤が出て行きやすいんですね。
温泉や海は髪がパサついてしまう事も
アルカリ性の温泉では髪の毛のキューティクルが開いてしまうため色落ちがしやすいのですが、もう一つ「たんぱく変性」しやすいという事もあります。
「温泉に入ると肌がスベスベになる」という人は多いと思いますが、これはアルカリが肌のたんぱく質を分解して余分な角質を落とすからです。
石けんで体を洗うと肌がスベスベになりますが、石けんはアルカリなので同じ作用が起こるからです。洗剤も一緒。タンパク質を分解して汚れを落としますね。
でね、髪の毛もタンパク質で形成されているので、アルカリでタンパク質が分解されて形が変わってしまいます。これを「タンパク質変性」と言います。
髪の毛のタンパク質変性はアルカリだけじゃなく、アイロンやドライヤーの熱や紫外線でもなります。海の場合は、海水の塩分に紫外線の組み合わせでさらにダメージを受けますよね。
温泉や海に行くだけではそんなに影響しないと思いますが、ハイダメージの人はちょっと気を付けたいところです。いちどタンパク質変性を起こしてしまった髪の毛は元に戻りませんし、キューティクルが閉じなくなります。
ヘアカラーの色落ちは温泉にもよる
温泉が全て色落ちしやすく髪の毛が傷むっていうわけではないと思います。温泉のphにもよります。
ph(ペーハーもしくはピーエイチ)というのは水素イオン濃度を表す指数の事。
小学生の頃にリトマス試験紙を使って実験をしたことがあると思います。青いリトマス紙が赤くなると酸性。赤いリトマス紙が青くなるとアルカリ性。
アルカリ性や酸性には強い弱いがあって、それを数字で表しているのがphですね。
健康な髪の毛のphは4.5~5.5の弱酸性です。肌と同じです。
カラー剤やパーマ剤はアルカリ性で、ものによって異なりますが大体8~12ほどです。
温泉によってもphが異なります。温泉に行くと脱衣所に「この温泉は・・・」っていう説明書きがありますよね。多分phも書いてあると思います。
アルカリ性が強いとタンパク質分解も大きいのでキューティクルが開きやすくなります。
見てみると温泉のphは本当に様々で、同じ県内でも場所によって違うんですね。行く前に調べてみるのもおもしろいかもしれませんね。
数字の目安
【アルカリ性】
強アルカリ性:ph10以上
アルカリ性:ph8.5以上
弱アルカリ性:ph7.5以上8.5未満
【中性】
中性:ph6以上7.5未満
【酸性】
弱酸性:ph3以上6未満
酸性:ph2以上3未満
強酸性:ph2未満
酸性の温泉は大丈夫なの?という疑問も出てきますよね。
酸性の温泉も注意が必要です。酸性の温泉の多くは、硫黄、硫酸、塩酸、ホウ酸、みょうばん、りょくばんなどの成分が含まれていることも多く、髪の毛につくのはやっぱり良くない。です。
ヘアマニキュアやヘナの直後の温泉はどうなの?
ヘアカラーだけど、ヘアダイではなくマニキュアやヘナで染めてても色落ちしやすいです。
ヘアダイは髪の内部に薬剤を浸透させるカラーリングです。髪の色を明るくしたり色を変えるときのカラー剤です。
それに対しマニキュアやヘナは髪の毛の表面に色をつけるカラーリングです。多くは白髪染めの時に使用します。
髪の毛の表面にカラー剤があるから、髪の内部から色が出てくわけじゃないよね?という疑問。
表面に色がのっている状態なので、キューティクルが開くとカラー剤がはがれやすいんですね。
温泉や海でのヘアカラーの色落ちは、カラー剤の種類はあまり関係ないってことですね。
サウナでもヘアカラーは色落ちしやすくなる
温泉に行くとサウナがついているところもありますよね。私はサウナ好きで、温泉のサウナで「どちらからいらしたんですか?」なんて会話もあります。
サウナでよくないのは、濡れた髪の毛で入ることです。
髪の毛は水分を含むと膨潤してキューティクルが開きます。
美容室で「しっかり乾かしてください」とか、「濡れたまま寝ない方が良いですよ」と言われたことがある人もいると思います。実は髪の毛。濡れている方が傷みやすいです。
私も分かっていて髪の毛が濡れたまま結んでしまうのですが、これも良くないです。
さらに、髪のキューティクルは熱によっても開きます。大体30~60℃くらいで開き始めるんですが、「濡れてる髪+高温のサウナ」はキューティクルが開きやすくヘアカラーの色落ちがしやすいんです。
ヘアカラーではないんですが、トリートメントでスチームを使う時の原理と同じです。
サウナに入る時は濡らさないこと!
ヘアカラーの色落ちを防ぐには
温泉や海に行った時にヘアカラーの色落ちを防ぐためには、まず髪の毛を温泉や海水で濡らさないこと。温泉ではできれば水道水で洗うこと。温泉によってはシャワーから出てくる水も温泉水のことがあるので気を付けたいところですね。
髪の毛を洗ったあとはしっかり乾かすことも大切です。
また、温泉や海に行く際には「温泉や海水でヘアカラーの色落ちはするんだ」と認識していると良いと思います。
私が担当しているお客様の中には、温泉や海でヘアカラーの色落ちをするのを分かっていてカラーリングにいらっしゃる方もいます。
旅行だから髪の色も整えておきたい。写真も撮るし。彼氏と行くから。
温泉や海でヘアカラーの色落ちを知っている方は、「色の落ち具合にもよるけど次回は全体に染めようかな」と言う感じです。もしくは、「温泉に行くからしっかりめで」というオーダーも受けることがあります。
髪の毛を傷めたくないのであれば、温泉や海に行ってからのカラーリングが良いと思います。
髪の毛用の日焼け止めなどもあるので、海に行く場合は良いかもしれませんね。
・温泉や海水で濡らさないこと
・洗う時は水道水で
・しっかり乾かすこと
・ヘアカラーは温泉前にはしない
・ヘアカラーを濃いめに配色
・ヘアカラーの色落ち覚悟で行く
まとめ
温泉でヘアカラーが色落ちしやすいのは、
・アルカリがキューティクルを開くから
・アルカリが強いとタンパク質変性をするから
海の場合は、アルカリ性はそんなに強くないけど紫外線や塩分で髪のが変性しやすくカラーが落ちやすい。
海に行って、温泉入って、ゆっくりして。・・・考えただけでも楽しいですよね。
髪の毛の事だけを考えていると温泉も海も楽しめないともいますが、知ってると対処しやすいともいますよ。